トサキン保存会西日本支部「2009年研究会活動報告」

トサキン保存会西日本支部の研究会活動の状況を簡単に紹介します。
(一部の枠付きの写真は、クリックすると拡大します)

会員のための活動ですので、実際にはここに公表出来ない技術や情報などもあり、掲載内容は活動の一部です

(記事は研究会開催後に順次追加する予定です)。

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当歳魚研究会・分譲会 : 広島市東区民文化センターにて (2009年9月21日9:00〜16:00)
開会挨拶:会員21名が参加 分譲会では50セットが販売 会場に日よけシートが新設 会場の賑わい
 昨年は豪雨の中で行った「当歳魚研究会(品評会)・分譲会」でしたが、今年は晴天に恵まれ、会場の広島市東区民文化センターの中庭(オープンプラザ)には遮光シートも新設されていたので、明るい陽射しの中、とても過ごしやすい環境での会となりました。
 今回で今年5回目の行事となりますが、関東や関西、四国、山陰などの遠方からも会員が集まり、品評会を除くとこれまでで最も多い21名の参加で、賑やかな会となりました。
 研究会開始前に行なわれた一般の方への分譲会は、予定通り11時開始としましたが、昨年同様に早くから来場され、色々と見学されながら販売開始を待たれている熱心な方々もありました。
 分譲は、当歳が10尾程度入って5千円の袋販売や当歳数尾で数千円などのセット販売、親魚や二歳魚は1尾数万円(二歳4万円のものも)と幅広く出品され、全体で50セットが分譲されました。 
研究会には65尾が出品 上位20尾が入賞魚 Ogawa氏参考出品魚 Ogawa氏参考出品魚
 品評会に出品された当歳魚は65尾と、これまでで最も多くの魚が集まり、冷夏で出来上がりが心配されていましたが、昨年を凌ぐレベルの魚が揃って今年も秋の大会が楽しみと感じさせる結果でした。
 審査員は私を含めて3名が指名され、各審査員の投票による1次審査結果について、審査員による獲得点数のばらつきを支部長が指摘して、最終順位を決定する形で上位20尾の入賞魚が選定されました。
 今回初めて1次審査結果の投票点数について、審査員の審査をチェックする形で解説が行われましたが、審査員の鑑識眼を高め、審査の目合わせを行う形となり、欠点や長所の評価についての基準の統一や審査員の育成へと繋がって行くことと思います。
第1位:Tagashira氏出品魚 第2位:Saijo出品魚 第3位:Saijo出品魚 第4位:Kuranishi氏出品魚
第5位:Kuranishi氏出品魚 第6位:Nakao氏出品魚 第7位:Zaizen氏出品魚 第8位:Ikeuchi氏出品魚
第9位:Matuda氏出品魚 第10位:Ikeuchi氏出品魚 第11位:Daitou氏出品魚 第12位:Daitou氏出品魚
第13位:Iima氏出品魚 第14位:Iima氏出品魚 第15位:Matuda氏出品魚 第16位:Zaizen氏出品魚
第17位:Arisue氏出品魚 第18位:Arisue氏出品魚 第19位:Tagashira氏出品魚 第20位:Zaizen氏出品魚

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選別済み稚魚分譲会 : 広島県福山市加茂町の小川支部長宅にて (2009年6月21日11:00〜17:30)
稚魚の品定めを行う会員達 袋詰めされた分譲稚魚 解説するO支部長 これで標準レベルの稚魚
 今年4回目の研究会で、関東や四国、山陰からの参加も含め会員17名での開催となりました。特に今年は意欲的な新規入会者が多く、今年は毎回会員が増えています。また、午後は台湾からの見学者も加わって、前回に引き非常に続き賑やかな研究会となりました。
 稚魚の分譲では、サイズも大きい選別済みの稚魚が20〜50尾程度がセットで希望者に分譲されました。今年は、会員のほとんどが順調に採卵できていて、分譲稚魚の購入希望は少なめでしたが、実際に支部長の稚魚を見て「自宅の稚魚を処分してでも入手すべきだった」との声も聞かれるほどレベルの高い稚魚が並んでいました。
稚魚の飼育管理状況の見学 丸鉢の中の稚魚 麻酔薬を用いた試験 麻酔が効いて浮き上がった魚
 今年は雨も少なく、換水やミジンコの給餌も順調に行えているとのことで、O支部長の稚魚はいずれもすごい魚揃いで、大きなものでも2.5cm程度ながら、この小さいサイズで目先が鋭く腹も出ており、何より大きな尾と後ろの幅で、驚かされました。
 また、当日は麻酔薬を利用した手術のテストなど、新たな手法も試行実演され、会員も興味深く見入っていました。
イトミミズの採取場所 昨年の池袋の2歳優勝魚 ゆっくりと褪色する黒いトサキン 黒いトサキンの稚魚 
 稚魚のサイズによって会員の給餌している餌が異なることから、ミジンコとイトミミズの採集は2班に分かれて行っています。各自が必要な活き餌を確保したようです。
 上の右側から2枚目は例の黒いトサキンで、4月には始まっていた褪色がここまでしか進んでいませんが、より土佐錦魚らしい体型・尾型になってきていました。
 なお、上の写真の右端はこの黒いトサキンが産んだ稚魚で、やや長手の雄をかけたにもかかわらず完全な丸手の体型を示していて、かなりレベルの高い形質のものが出てきているようでした。
 黒色の体色の遺伝子が、一般に言われている見解と異なって純粋な劣性遺伝でない場合には、この稚魚の中から黒く変化するものが出る可能性も無いとは言い切れないので、興味を惹くところです。

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無選別稚魚分譲会 : 広島県福山市加茂町の小川支部長宅にて (2009年5月24日11:00〜17:00)
新規入会者の選別実習 支部長の成育状況を見学 解説するO支部長 ブラインシュリンプ給餌実演
 今回の研究会は、産卵シーズンの最盛期の稚魚分譲会でもあり、出席者も19名と会員の意欲の高さを感じさせる内容となりました。天気は曇り空の少し肌寒い気温で、午後には時折雷鳴が轟き激しい雨もありましたが、降ったり止んだりで行事の支障にはなりませんでした。
 今回の分譲稚魚は、支部長の準備した26鉢分で、昨年までと同様にくじ引きによって希望順に分譲されました。また、当日は新規入会者を中心に選別の実習も行われ、用意された無選別の稚魚の中から、残すべき稚魚を抜き出す作業の指導が行なわれました。

 次に支部長の飼育状況の見学を行い、稚魚へのブラインシュリンプの給餌実演などが行われています。
当日産卵した三歳雌魚 モルタル角鉢の中の二歳魚 ミジンコの多発している貯水池 軽く網を入れれば数百グラム
 また、人工授精の実演で得られた受精卵に加え、当日産卵した昨年池袋の大会で2歳の部で優勝した魚の卵などが、希望者の中からじゃんけんで持ち帰られました。
 また、ミジンコ採集では、今回は非常に濃い赤色のダフニアが大発生しており、軽くすくえば数百グラムの量が採れ、会員も皆喜んで持ち帰りました。
網の中のミジンコ 現地で酸詰めして持ち帰る 抱卵している黒いトサキン 腹部から褪色がゆっくり進む 
 上の右側2枚の写真の黒い二歳雌魚は、支部長の所で突然変異で現れた漆黒の魚で、黒出目金や黒ランチュウにならえば「黒土佐錦魚」と呼ぶべき魚で、これらの魚と同様に本来の褪色が進んできましたが、この褪色スピードもこれらの魚と同様に非常にゆっくりしています。また、体型から抱卵している感じで、先日の採卵に続いて、まだ卵が得られる可能性も十分にありそうな感じでした。
 その他にも、数多くの良魚がどの舟にも見られ、特に今年作ったモルタルの角鉢に入っていた二歳雄魚は下の4尾のように何れも素晴らしい魚でした。
 ちなみに、この角鉢で褪色した魚は何れも更紗模様となっているそうで、環境や水質の違いが褪色後の色の発現に影響しているようにも感じられます。
モルタル角鉢にいた二歳雄魚は、何れも雄魚でどれも素晴らしいレベル

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二歳親魚分譲会 : 広島県福山市加茂町の小川支部長宅にて (2009年4月19日10:00〜17:30)
60尾が入った洗面器が並ぶ 分譲魚をじっくり吟味する会員 人工授精の実演 30人以上が集まった
 抜けるような青空の好天に恵まれ、今年2回目の行事として二歳親魚分譲会が行われました。今回の分譲は一般参加も募ったので、出席者は30名(うち会員15名)以上となり、高知県からの4名の参加の他、四国や近畿地域などから、年代で平均すると40歳代前半となる比較的若い方を中心にした集まりとなりました。
 分譲魚は二歳46尾、親魚5尾で合計51尾が出品され、参加者は各自の産卵に用いるべき形質を見極めて必要な資質を持った魚を選んでいました。
モルタル角鉢の中の二歳魚 一般参加者に解説する支部長 褪色が始まった黒いトサキン 瞳の周囲の白目も黒い
 分譲会の後は、支部長の飼育状況の見学を行いました。今回は一般参加の方を優先して支部長から解説も行われ、それぞれ新たな発見もあったようです。
 右上の写真は話題の「黒いトサキン」で、どうやら雌魚のようです。白目や腹まで真っ黒ですが、褪色が始まったようで、尾の条間や腹部にオレンジ色の部分が見えてきました。今年の産卵が楽しみな個体です。(詳しい解説は4/23の日記「黒いトサキン」をご覧ください)
(上の写真の4尾は、支部長の明け二歳の中から目についた魚を洗面器に上げて撮影したものです)

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座談会 : 広島県福山市加茂町の小川支部長宅にて (2009年2月22日11:00〜17:00)
ミジンコの発生している溜池 採集したミジンコ(ダフニア) O氏(中央)の角鉢作り解説 角鉢の型枠(内・外)と鉄筋
 昨年好評だったので、今年も一年の最初の行事として、「座談会」が行なわれました。気温も低く午後からは雨も降る中でしたが、会員13名が参加されました。
 今年は、昨年初めて開催された「全国土佐錦魚品評大会」が広島で開催されるということもあってか、シーズン前ながら会員の意識も高く、非常に活発な意見交換と実習も取り混ぜた熱心な研究会となりました。

 実習としては、会場の支部長宅から15分程度車で移動して、ミジンコ採集を行いました。いまだ2月中旬ではありますが、バケツに上げると写真の様な状況で、希望する会員が持ち帰りました。
 採集池が研究会の度にかわっているので、会員が自宅近くで探す折に、どのような条件であればミジンコが発生しやすいのかを考える良い経験になっているようです。

 また、角鉢の作成について、設置における注意点や作業の流れやポイント等を、会員のO氏より説明がありました。仕事柄、詳しい知識と技術を持たれており、非常に分かりやすい解説で好評でした。
 それぞれの得意分野でお互いに教え合うのも、会の活動の大きなメリットだと感じました。

 その他に、「第二回 全国土佐錦魚品評大会」についてや、 ブラインシュリンプなどの資材共同購入についてとりまとめを行ないました。

 また、会の活動も4年目に入って活動の流れがしっかりと出来てきて、個々の飼育技術もかなり高まってきた事から、少し新規の会員を受入れる余裕が出てきました。
 今後は、会員の知人や友人などを基本にして、希望の方がいれば入会受付を再開することとなりました。

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