稚魚の管理と選別 |
4/21 |
孵化当日
(産卵4日後) |
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写真は産卵4日目の夕方の写真です。朝には数尾しか孵化していませんでしたが、夕方にはほとんどが孵化しています。孵化後の低温は大変危険で、鱗が生えるまでは特に低温に弱く、死んだり、泳げなくなったりするそうです。産卵が早くまだ4月ですので、念のため、ヒーターを入れていますが、設定温度は少し下げて18℃にしています。孵化後の稚魚は底に横になって沈んでいますが、時々直線的に泳ぐ姿が見られます。 |
4/22 |
孵化翌日 |
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この時は初めての人工授精であり、孵化は500匹程度(受精率50%・・・)でした。また、受精卵の中でも5%程度(20〜30個)は孵化が遅れていたり、死んでしまったりするものがありますが、水の傷みを招くことへの影響とその後の生育揃いを考えて、これらはあきらめ、卵の殻を洗面器ごと取り出します。稚魚は底でじっとしていますが、昨日と違い、しっかりとまっすぐ姿勢を維持できるようになります。 |
4/23 |
2日後 |
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孵化2日目の稚魚は、俗に「立つ」と呼ばれるように、頭を上に壁面に張り付きじっとしています。朝は数尾が時々水中に泳ぎだす姿が見られますが、夕方には数十尾が水中に泳ぐ出す姿も見られます。水面の油膜状の汚れが少し気になったので、本格的に泳ぎ出す前のこの時期に、更水を洗面器ごとゆっくりと丸鉢に入れてオーバーフローさせて一度あふれ出させました。また、3日目の夕方から4日目を目安にブラインシュリンプを与え始めますので、これに備えて準備をしておきます。丸鉢1鉢あたりで1日の必要量は、ブラインシュリンプ0.8g、水500ml、塩10gで十分な量だと思います。給餌予定の24時間前にセットしますが、2%の塩水を毎日用意することとなるため、管理を簡単にするため、10gが量れる計量スプーンなどを用意しておくと楽に準備ができ、分量間違えによる孵化の失敗を未然に防ぐことが出来ます。 |
5/1 |
1週間後 |
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5月に入り、朝の最低水温が18℃前後に安定してくると、丸鉢のヒーターを外します。ブラインシュリンプは日に何度にも分けて与えるほうが良いのですが、平日は仕事の関係で朝夕の2回に分けて与えています。10日目に1回目の選別を行ないますが、これまでに「体の曲がり、泳げないもの、奇形」を見つけ次第(今回は7日目までに約30尾を)ハネておきます。第1回目の選別時には丸鉢の水を全換えします。今回の選別では、「フナ尾、左右の尾形の違い、極小さいもの」を100匹程度ハネましたが、1鉢に200尾程度にしたいため、鉢数を増やし、2鉢へ各200尾に分けました。選別の時間は出来るだけ短くし、温度変化も極力抑えるようにします。アップの写真では左の魚を残して、右の魚はハネます。 |
5/9 |
第2週 |
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孵化後2週間目に2回目の選別を、20日後には3回目の選別を行ないます。この時期の選別は厳しく頻繁に行うようにし、2回目では120尾に、3回目では75尾にしました。選別は尾の角度を中心に行ないます。「60〜90度のものを残して他をハネる」ため、アップの写真では左の魚を残して、右の魚はハネます。この時期の正常魚は尾が2つに分かれており、全て4つ尾に見えますが、尾心部分は後から伸びてくるので大丈夫です。この時期に思い切った選別で数を減らすことで、魚の成長が急に早くなるように感じます。写真は孵化後2週間目のものですが、稚魚も少し体に幅を感じるように成長しています。また、この選別のときにも同時に全換えを行ないます。 |
5/14 |
第3週 |
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選別は基本的に水換えと兼ねてその都度行ないます。今回は5月上旬ですので4〜5日おきの全換えに合わせて選別をを行なっています。3週目の選別では1鉢あたり50尾程度にします。この時期の選別も尾形を基本に「開きすぎ、狭すぎ、左右の非対称をハネる」ようにします。2〜3週目の餌はミジンコが最適だと聞いていますが、入手が困難なためブラインシュリンプを引き続き与えています。また、この頃まで、思わぬ急な朝の冷え込みがありますが、15℃以下でのブラインシュリンプはできるだけ与えないようにするほうが良いかと思います。無理な摂食により急にらせん状に泳ぐ「きりきり舞い」を起こすことがあります。私の場合はやむを得ず早朝の給餌を行なうこととなりますので、このような低温時には若干の足し湯をして18℃程度にしてから給餌しています。 |
5/22 |
第4週 |
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選別を厳しく密度を減らして薄飼いとしていますが、1日に2回のシュリンプ給餌では成長が遅れるようです。淡水で数時間しか生きないブラインシュリンプと違い、ミジンコであれば朝多めにやる事が可能なのですが・・・。写真は通常1週間遅れ位のサイズですが、この大きさになればイトメ(イトミミズ)に切り替えます。イトメは丸鉢で長生きしますが、水の傷むスピードが非常に速くなりますので、早く大きくしようと朝たっぷりとやり過ぎると全滅ということもあるそうです。この頃から水換えは1〜2日置きにします。4週目の選別では尾心が筋状に黒く見える「つまみ」などをハネて1鉢あたり30尾にします。 |
5/29 |
第5週 |
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イトメの給餌量ですが、正午には食べ終わり、その後はコケを食べさせ、餌を求めて泳がせるようにすると良いそうです。食べる量は水の状態によって違うようですが、感覚的には100円玉位の球状の塊を基本にしています。万一、夕方に余っているようであればイトメは取り除きます。右の写真は丸鉢の縁にそってぐるぐると泳ぐ様子です。当歳魚の飼育に丸鉢が欠かせないのは、この泳ぎをさせるためで、自らが延々と泳ぎ続けることで、将来大きく展開する尾を支える体を創ります。このため、遅くとも3週目以降は必ず丸鉢で飼育するようにします。5週目では、1鉢あたり20尾にしますが、とりわけて欠点が見えにくい時期でもあるので、選別が難しいようであれば鉢の数を増やして調整します。 |
6/4 |
第6週 |
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6月に入ると丸鉢の換水は毎日全換えとします。尾も少し広がりはじめる時期ですが、この頃は、尾が柔らかく尾肩を後ろに流したものや尾肩は張っているが角度は狭いものなど少しタイプが分かれているなど様々なタイプが確認できます。系統や環境によりその後の良魚は想定しにくい時期です。今までの選別でかなり薄飼いとしていますので今週の選別は一度見送りにしました。腹に膨らみが出はじめ、金魚らしく体高が出てくるのもこの時期からです。 |
6/11 |
第7週 |
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選別は、尾筒が伸びすぎのもの、尾心の下がり、尾心のぶれを中心に行ないます。1鉢には12尾程度にします。アップの写真は左からブラインシュリンプ、イトメ、コケを食べている時のフンの状態を比較しています。餌により色も硬さも異なることが分かります。この頃は昼まではイトメ、午後はコケを食べさせるようにイトメの量を調節します。 |
6/16 |
第8週 |
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尾の後ろが広く、尾心も長いほど良い魚になるように感じますので、選別は尾の後ろの広がりが大きいものを残すようにします。1鉢に10尾程度にします。生育の差が少し目立ち始めるようになりますので、1鉢の中で大きさが揃うように、大きいもの、小さいものを揃えて飼育します。6月も中旬になるとエラまくれや尾のガス症などが発生するようになります。ただし、あまりこれを気にして日陰を多く作ると親骨が前にどんどん出てくるので、そのあたりの見極めが必要となります。アップの写真は尾に気泡が生じるガス症です。 |
6/23 |
第9週 |
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選別は前回と同様に尾の後ろの広いものを残しますが、尾心の立ちすぎ、尾心のぶれなども見られる時期です。これらも改善することはありませんので見つけ次第ハネます。この頃には1鉢に8尾程度とします。急に腹回りが出はじめて金魚体型になってくる時期で、イトメも当初の倍量程度は食べるようになってきます。 |
7/1 |
第10週 |
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選別はこれまでの見落としをハネる事となりますが、10週目ともなると素人目にも各魚の特徴がはっきりと判別でき、それぞれの特徴が出てきます。丸手や長手、尾の捌き方にも特徴が見られるので、自分が理想とするタイプに近いものを残してゆく選別に移行することができる時期ですアップの写真は。同じような体型ですが、目先の尖り方、尾筒の長さ、親骨の返し具合など遠目にも違いがはっきりとしています。この時期には1鉢あたり6尾にして、気に入った魚をゆとりを持って育てていきます。 |
7/7 |
第11週 |
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7月に入ると水温が30℃まで上がることが頻繁になります。丸鉢は終日直射日光にさらされていますので、水温の上がりすぎでエラまくれやガス症が起こります。これを防ぐため10〜15cm幅の板を丸鉢の上に置いて防ぎます。選別は狂いが生じた魚をハネる形になります。今回は他の魚よりやや長手で若干尾の小さい魚を1尾ハネて5尾にしています。また、この時期は尾の皺が出はじめる時期です。アップの写真は尾心が上がり気味のため、以前ハネていたものですが、当時より尾心の上がりも激しくなり以前は無かった皺が大きく2本入り、全くダメな魚になっていました。影が多いとあまり泳がず、また餌の与えすぎでも同様にしわが出来やすいそうです。 |
7/11 |
第12週 |
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写真では分かりにくいのですが、右上の1尾の褪色が始まっています。アップの写真は左下の魚で別の魚ですが、尾と腹型が気に入っています。ただし顔は目幅があり目先も短いので、あまり良い魚にはなりそうもありませんが・・・。また、新たに1尾皺が出て選別対象となりました。この1尾をハネて1鉢4尾にしました。 |
7/20 |
第13週 |
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夏のうちでも最も水温が高くなる時期です。毎日の全換水を行なっていれば通常は病気とは無縁の時期ですが、換水をサボっていた2歳の舟からエラ病が発生して丸鉢にうつってしまいました。アップの写真のように呼吸が速くエラが開いた状態で浮かびがちに力なく泳いでいます。また、エラの縁の皮膜部分が内側に巻き込んでいる様子がわかるかと思います。しかし、この時期は治療も簡単で、更水で全換水してコケなどのない清潔な容器で炎天下の高温状態に置けば簡単に治ります。0.5%の塩も入れれば完璧で1日で治るほどです。写真の魚は塩水浴無しで翌日には完治しましたが、やはり病気にしないよう気を抜かない管理が必要です。 |
7/28 |
第14週 |
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褪色中の1尾は、尾の縁ににきれいに白が巻い素赤になりましたが、残念なことに首が微妙に左に曲がってきたようです。他に欠点が無く、尾も魅力が出てくれば種用の予備に使う程度として、ハネにします。これで、一応選別は終了で、1鉢3尾で秋まで飼育を続けることとします。 |