トサキンのカット 土佐錦魚には数多くの型があり、例え同じ系統の中からも様々な姿形のものが生じます。これらの優劣を一つの型に無理に当てはめて、一概に優劣を論じる事は図や文言の上では不可能ではないかとさえ思えますが、現在では一般的に、丸手で尾が大きく目先のあるものが、どこの会でも共通して評価が高いようです。 トサキンのカット
ここでは、先達の唱えられている土佐錦魚の理想形である「円に接する姿」を参考に、あくまでも一つの例として、各部の名称を主体に見方について紹介します。

土佐錦魚の各部の名称の図

 名称と評価基準
「目 先」 両目の中心から口先までの距離。長い方が良く、口は細く尖っているものが上品で良い。
「目 幅」 目と目の間隔を目幅と言う。目は出ることなく、目幅は狭いものが良い。
「 頭 」 肉瘤が出ないこと。鰓蓋が反ったり窪んだりせず、口先に向けてなだらかな線を描く。
「 背 」 頭との繋がりに段差が無く、盛り上がり過ぎない。骨格が太く背幅があるものが良い。
「体 位」 卵型を基本とするが、目先が鋭く尖る涙型が上品で良い。腹型は緩やかに曲線を描く。丸手、中手、長手とがあるが、順に評価が高い。
「尾 筒」 背びれの後方から尾の付け根部分までを尾筒と呼ぶ。太くがっしりとして、伸びすぎず詰まりすぎず、櫛型に弧を描いた背なりを持ち、尾下がりの良いものが良い。
「金 座」 尾付け(尾ビレの付け根部分)に広がる鱗のある部分。褪色前の黒色と赤や橙色に褪色した場合は金座、白く褪色した場合は銀座と呼ぶ。広いほど美しく泳ぎが安定する。
「親 骨」 金座から続く尾の前端部分の太い骨を親骨または前骨という。親骨は太くがっしりと安定するものは極めが良い。親骨は尾芯に対し直角に出て、よく尾を押さえ水平よりやや低く伸び、先端部ほど水平になるものが良い。
「 前 」 親骨と前方に尾ビレが反った部分全体の総称。この反り部分を反転または袋(手)と呼ぶ。土佐錦魚の特徴であり、大きくゆとりのあるものが良い。
「一文字」 親骨からすぐに反転が始まるものを一文字と呼ぶ。
「折 舞」 親骨を一節折って反転が始まるものを折舞(二枚返し)と呼ぶ。
「渡 り」 親骨の左右の先端の間の距離を渡りと呼ぶ。長いものほど反転が大きく迫力が出る。
「尾 芯」 尾の中心線。太く真直ぐで泳ぐ際の振れの小さいものが良い。先端部分が上がるものは掬いと呼ばれ敬遠される。
「 後 」 尾芯を中心に左右に広がる尾の後方部分の総称。幅広く大きいものが良い。
「朝 顔」 尾の周縁先端部分の波状に切れ込む様を朝顔と称する。深く切れ込むものは華麗で評価が高い。
「手 術」 手術を要さないものが理想。手術の痕跡が認められず、完治していれば差し支えない。
「均 整」 口先から尾芯の先までの中心線が一直線となり、各部が左右対称にして、泳ぎに癖が無く、よく極めるもの。尾には皺や捩れが無いものが良い。
「理想形」 口先と尾芯の先端、両親骨の先端並びに反転部分が全て円周に接する形のものが理想の土佐錦魚である。

 親魚、二歳魚、当歳魚の基本形
【親魚】 【二歳魚】 【当歳魚】
土佐錦魚の基本形の図(親魚、二歳魚、当歳魚)

丸鉢ライン

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