土佐錦魚飼育の工夫

土佐錦魚の飼育には多くの手間と労力がかかりますが、私の所では平日は早朝1時間と夕方30分(真夏の最盛期は各30分プラスになりますが・・・)を管理時間と設定しています。この範囲内で何とか飼育するための工夫や、飼育・管理上の便利な資材・器具について紹介します。(写真はクリックすると拡大します)

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プラ舟の保温
当歳魚の秋以降からは、プラ舟で飼育しますが、温度変化を和らげるための保温を行なっています。特に秋以降は早朝の最低水温で、2℃程度の保温効果が期待できます。セメントの丸鉢に比べると、温度は上がり難く下がり難くなります。
プラ舟は全て80Lを使っていますが、この側面と底面に3cmの厚さの発泡スチロールの板をはめ込んで保温材としています。市販の発泡スチロール版では90cm×60cmサイズ(価格:約500円×2枚と1/3枚)が使い易いと思います。プラ舟の周囲には補強用の返しがありますが、3cmの厚さのスチロール板にピッタリの窪みがあるので、カッターナイフで側面の形状に合わせてかたどりをすると強く押し込めば外れなくなります。
まず、側面の長辺を加工します。側面は20cmの高さの台形ですが、返しの中には所々に補強用の突起があるので、この溝に合わせてスチロール板も加工しておきます。同様に短辺の側面も加工してはめ込みます。コーナーの加工はそのままでも良いのですが、うちでは換水時の排水後に持ち上げて完全に排水したい、取り回しを考慮して角を削り、布テープで仕上げています。底面は排水口に合わせて穴をあけてサイズに合わせて切り、かぶせただけですが、この角もついでに削っておきます。

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止水用大型クリップ
換水時の給水用ホースは、手元で止水するために大型のクリップ(10cm位の大きさ)を使っています。ホースの先を折り曲げてはさめばOKです。先の銀色のものはステンレスパイプで、給水時に手を離してもホースが暴れないようにおもりにしています。
私の換水方法は、高低差50〜130cm程度の落差による自然落下の給水方法ですので、汲み上げポンプによる高圧給水に耐えられるかは不明です。(クリップは100円ショップで2個100円で購入)

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エアーストーンの高さ調節
2歳以上の飼育では、プラ舟の角の水面付近で軽くエアーレーションを行って、水流を極力起こさないように管理しています。エアーストーンの高さを一定に調節するため、板の上に乗せてある写真のようにL字のジョイント(1個20円程度)を2個使ってチューブでつなぎ、高さ調節を行なっています。

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断熱用発泡スチロールブロック
屋上の床面は非常に高温となりますので、直接飼育容器を置く事は避けています。丸鉢の下に土台として使っている写真のものはコンクリートブロックではなく、発泡スチロールブロックです。1鉢に2個ずつ使っています。床面からは9cmの高さを確保でき、温度を伝えないので便利です。同様のものを80Lプラ舟にも使用していますが、こちらは1舟に4個ずつ使っています。
また、写真の手前に写っているものはジョイント連結式の人工芝で、通路部分に使用して、照り返しを防いでいます。

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コケの管理用ブラシ
コケは付く場所の材質によって、管理(擦り方)を変えなければ、良い状態を保つ事は困難です。私の所は井戸水で屋上飼育のため、コケの生育も非常に早いという条件での事例ですが、使い分けを参考までに掲載します。
モルタル丸鉢には中央下のステンレスワイヤーブラシで、2歳以上のプラ舟は左のブラシを、新規導入丸鉢の立ち上げ時やプラ丸鉢には普通のたわしを、プラ丸鉢やプラ舟の新規導入時には上の柄付きの柔らかいブラシを使っています。(全て100円ショップで購入できます)

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えらめくれ処理用のはさみ
えらめくれ処理には、魚が暴れた際に傷付けることが無いように、先がカーブして丸くなっている赤ちゃん用のつめ切りバサミを使います。(写真左上)
稚魚の場合は特に処理が難しく、切り取る部分も小さくなるので、刃先の厚さも薄いものが使い易いと思います。写真右下は、女性の眉整形用のハサミです。前述のハサミと同様に先が湾曲していますが、より刃先が薄く小さいので、処理に慣れてくればこちらの方が使い易いかもしれませんが、刃先が丸くないので細心の注意が必要です。

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餌の容器
人工飼料はアユ用のものを使いますが、購入は1kg単位以上からが一般的です。大量購入したものを小分けにして使う事となりますので、軽くて持ち易く、広口で取り出しやすい容器が良いと思います。
私は韓国キムチの空き容器を洗って使っています。ペット樹脂容器で密封もできるのでうってつけです。キムチの色と臭いは、台所用洗剤で軽く洗って、直射日光下で丸一日干しておけば全く無くなります。写真左が稚魚用(イトミミズが切れた時のの非常用)、右が2歳以上用です。

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上向き水温計(市販品)
市販の一般的な水温計はガラス水槽の壁面に吸盤で付けるタイプなので、屋外の使用では一目で温度が見えず、固定も困難ですが、平尾計量器製の池用特殊アルコール水温計「らんちゅう」がおすすめです。水面に浮かべて用いますが、写真のようにプラ舟の壁面に表面張力のおかげで安定してくっついています。15cmと大きく見やすい目盛りで使い勝手も良く、1本1本職人の手作りとの事ですので、1本2,000円弱の値段も納得の出来栄えです。。

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給水の工夫
高所にタンクを設置することで、ポンプなどを利用せず、バルブを開くと自然に給水できるよう配管をしました。換水効率は飛躍的にアップです。また、屋上が飼育場であるため、できるだけ荷重の少ない軽量資材を選んでいます。
600L貯水タンクとプラスチックパレット 150L貯水槽とコンテナ 3方2面シートバルブ バルブによる注水口 丸鉢注水ホースとおもり
メインタンクは600Lです。水1Lは常温で約1kgですので、600kg以上の荷重に耐える軽量の台としてプラスチックパレットを選びました。サイズは120×100×14cm(14Kg)です。3段重ねの間に防虫処理済枕木を入れて50cmのかさ上げとしています。(パレット1枚約6,000円) サブタンクは以前ベランダで使っていた150Lのタンクです。これは重量が軽いので、ホームセンターなどにある輸入球根用のコンテナを2段重ねで4個使って46cmのかさ上げをしています。配管は底面に栓を付け、コンテナ内を通っています。(アップは右の写真) 2つの貯水タンクを連結し、コックで切り替えができるようにしています。3方2面シートバルブというものです。(価格:約2,500円)給水量は配管パイプの直径に比例しますので、私の所ではできるだけ大きいものを選び、25mmで配管しています。 給水口は樹脂製のボールバルブを全ての舟に設置しています。(価格:25Aサイズで1個約1,500円) この他に丸鉢への給水用には20Aバルブ(約1,350円)も使用しています。 丸鉢への給水用には、一般のホースより一回り大きい直径20mmのホースをつないで給水量のアップをはかっています。ホースの先にはステンレスの管(約150円)を付け、手を離していても注水出来るようにおもりとしています。

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タンク満水時の自動止水
私の場合、設置前は換水時に一番時間がかかっていたのが実はタンクへの注水の待ち時間でした。この間に色々な作業をしていたのですが、何回かあふれさせたこともあり、満水では?と途中何度も見に行ったり、作業が終わってからも離れられないので、実際かなりの時間が縛られていました。これを一気に解消した工夫ですが、うちの井戸は容量が少なく今までは換水に使えませんでしたが、以後はちょろ出しで仕事中に長時間かけて注水することができるようになりました。材料費も安く加工も簡単で効果は絶大!おすすめです。
浮き球による自動止水 タンクへの脱着給水ホース タンクへの給水ホース脱着時
貯水タンクを満水にするには30分以上かかりますが、これにトイレのタンクに使われているフロート(浮き玉)を使って満水になると自動で給水が止まるように加工しました。
(フロートセット約3,500円)
給水側は一般の16mmホースを接続します。ホースは防藻、耐圧タイプ(20m約1,000円)を用います。また、接続時にホースが折れないようにL字のソケット(約350円)を用いています。 浮き玉の配管は水道管に繋がるように13mmなので、接続にはカップリング付きの水道蛇口に直接繋げるタイプのネジ付き蛇口ニップル(約200円)を用いています。これはワンタッチ取り外し可能で便利です。

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産卵時や病魚の隔離板の自作
材料費300円で作りました。私の場合、80Lのプラ舟がメインに飼育していますので、産卵前後に大活躍する隔離版ですが、購入するにも中々ぴったりサイズはなく高価だと思いますので自作しました。幅60cm以上でも同じようなネジを使って連結すれば大型の舟にも同様のものが使えますので経済的です!材料は水稲(イネ)の育苗箱(中苗用)とネジだけです。
隔離板 隔離板の幅調節部分 隔離板の幅調整部品
完成図です。育苗箱はホームセンターや農協(JA)で入手できますが、均一に穴が開いている中苗用を用います。サイズは共通で60×30cmです。材質は塩化ビニルのようで、のこぎりで簡単に切れますので底型にあわせて台形に切ります。 加工すると切れ端が出来るのでこれを利用して、上部の両端に舟への固定用のL字部品を作ります。これをネジで挟み込んで固定します。錆びたりしないように、また、不要な部分を切り取れるようにアクリル製のネジを用いています。 舟への固定部分は左右にスライドするようにしています。これも板の穴を利用し、2つを繋げただけで自由に調整できるようになっています。L字部分が左右にスライドするので、舟の側面にぴったりに取り付けることが出来、外れません。

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