トサキン保存会西日本支部「2010年研究会活動報告」

トサキン保存会西日本支部の研究会活動の状況を簡単に紹介します。
(一部の枠付きの写真は、クリックすると拡大します)

会員のための活動ですので、実際にはここに公表出来ない技術や情報などもあり、掲載内容は活動の一部です

(記事は研究会開催後に順次追加する予定です)。

丸鉢ライン

当歳魚研究会・分譲会 : 広島市東区民文化センターにて (2010年9月5日9:00〜15:00)
開会挨拶:会員22名が参加 洗面器が並び準備が進む 日よけシートの影は・・・ 一般来場者も20名以上
 日中が35℃に迫る異常な暑さの中、「当歳魚研究会(品評会)・分譲会」が行われました。会場の上には遮光シートがありましたが、並んだ洗面器はかなりの高温となっていたようです。
 今回は22名の会員が集まり、うち20名が73尾を出品し、当歳魚研究会としてはこれまでで最も多い出品数となりました。
 研究会の開始前に11時から行なわれた一般の方への分譲会も盛況で、昨年同様に早くから来場され、色々と見学されながら販売開始を待たれている熱心な方々も多くありました。
分譲魚の販売 O支部長による最終審査 上位20尾の入賞魚が決定 出品数は過去最多の73尾
 品評会に出品された当歳魚は、産卵時期の低温や梅雨明け以降の猛暑が続いた影響が懸念されていましたが、サイズも姿形も十分で、レベルの高い魚が多数揃っていました。
 今回は審査員4名で1次審査を行いましたが、概ね順位がばらつかず、審査員の鑑識目も揃ってきているようです。1次審査後に行われた支部長によるチェックでも順位の修正は行われず、以下の通り順位が確定しています。
第1位:Saijo出品魚 第2位:Ooga氏出品魚 第3位:Sakamoto氏出品魚 第4位:Sakamoto氏出品魚
第5位:Saijo出品魚 第6位:Zaizen氏出品魚 第7位:Zaizen氏出品魚 第8位:Ooga氏出品魚
第9位:Saijo出品魚 第10位:Sakamoto氏出品魚 第11位:Zaizen氏出品魚 第12位:Arisue氏出品魚
第13位:Yonemasu氏出品魚 第14位:Arisue氏出品魚 第15位:Ooga氏出品魚 第16位:Morioka氏出品魚
第17位:Iima氏出品魚 第18位:Tagashira氏出品魚 第19位:Kuranishi氏出品魚 第20位:Kuzume氏出品魚

丸鉢ライン

食事会・研究会 : 広島県東広島市八本松東の「お好み焼き ちどり」:Aさん宅にて (2010年7月25日13:30〜17:30)
お好み焼き「ちどり」店内にて 希望者への分譲稚魚 2歳・親魚のたたき池が9面 親魚がゆったりと泳ぐ
 今回は臨時の行事で、会員のAさんのお好み焼き店「ちどり」の開店祝いも兼ねての食事会と、研究会を行いました。
 気温は34℃の真夏日。強い日差しの中、急遽開催した臨時の行事にもかかわらず14名の会員が、遠くは車で7時間以上かかる所からも参加されました。
 実質的には早く集まった会員が多く、お客さんが帰った午後1時半から始まり、夕方のお客さんが入ってくる5時半ごろまでの充実した研究会となりました。
丸鉢はpH8.0 大容量の貯め水用水槽 不整形の空地はミジンコ池に 底をすくえばミジンコが
 皆で美味しい広島風お好み焼きを食べた後、研究会としては、会員のAさんが自作された「たたき池」と「丸鉢」の見学、給餌方法やミジンコの培養・貯め水などについての質問、希望者に用意された分譲稚魚(8鉢分)、簡易な水質検査と土佐錦魚に適した水質管理の説明などの内容でした。

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選別済み稚魚分譲会 : 広島県福山市加茂町の小川支部長宅にて (2010年6月27日11:00〜16:30)
稚魚は袋詰めして並ぶ 支部長の6月生まれの分譲魚 支部長の5月生まれの分譲魚 会員の3月生まれの分譲魚
 天気は梅雨の中休みといった感じで、ごく僅かな小雨が時折ぱらついた程度でしたが、非常に湿度の高い蒸し暑い日となりました。
 一方で参加者は、
これまでで最も多い28名で、今年入会された方が12名あることもあって、非常に賑やかな研究会となりました。
 先月の稚魚の分譲が僅かであったため、今年は6月が本格的な稚魚の分譲会となり、支部長と他の会員3名が分譲稚魚を出品して、合計26鉢分が分譲されました。
 今年は分譲時間の短縮や水変りのショック軽減、感染症対策などから、袋詰めした状態で出品者が持ち込む形の分譲としています。
期待の大きい卵は少数精鋭で 洗面器で採卵しプラ舟孵化 丸鉢の縁を回る稚魚達 支部長が稚魚の基準を解説
 支部長はこれまで丸鉢での孵化を行われていましたが、今年はプラ舟に空きがあるため、これに洗面器を沈めての孵化も試行されていました。採卵や人工授精、孵化などには色々な方法がありますが、それらの長所や課題について研究会では情報提供されました。
孵化後2週間目 孵化後3週間目 孵化後4週間目 孵化後40日目
 また、今年は産卵が約1ヵ月遅れていることもあって、この時期には卵から3cm程度の稚魚まで様々なサイズのものが揃っているため、これらを順に並べて各段階での選別の基準や良い魚の見分け方について解説がありました。
 たたき池で2歳魚を解説 欠点無く尾の大きい2歳雄魚  細いが後の大きい2歳雄魚  会員の質問に答える支部長
  その後は、ミジンコの採集を行っています。

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稚魚等分譲会・見学会 : 岡山県玉野市の大賀副支部長飼育場にて (2010年5月23日11:00〜16:00)
稚魚などが並ぶ分譲会 説明する大賀氏(右から2人目) 常時貯め水から少量を注水 壁面のコケを残す
 今年は春の低温が影響して産卵も遅れ気味となっているので、稚魚の分譲をメインとした研究会から内容を変更して開催となりました。
 初参加の会員4名を含めて、合計20名(うち1名は見学)で、激しい雨の中にもかかわらず活気ある研究会となりました。
 分譲会では、選別済み稚魚が1鉢分、無選別稚魚が2鉢分、二歳6尾、親魚2尾が分譲されました。
 今回は初の試みとして、午後からは会場を副支部長の飼育場に移して見学会としました。独自の工夫で参考になることも豊富で、参加者からも好評でした。
イトミミズを与えている稚魚 針子がひしめく丸鉢 ブラインシュリンプ孵化装置 油濾し紙で塩水と分離
 副支部長の飼育場は自宅屋上と今回見学した第二飼育場に分かれており、ここは錦鯉の飼育場跡を改修したもので、豊富なタンクの井戸水を有効に使われていました。
 また、海が近いことからブラインシュリンプの孵化には海水を用いていたり、塩水との分離や与え方、当社い魚に限らず親魚に至るまで、独自の工夫で特徴的な飼育をされていました。

 サイズが大きく太みがあり、赤の発色も良いことで評価の高い大賀氏の魚ですが、その理由が垣間見られた感じでした。
 たたき池でゆったり飼育 顔が尖り腹が太い二歳雌魚  井戸水でイトミミズの保存  ミジンコ増殖用のタンク
  たたき池は、土佐錦魚のために20cmの深さに作られていて、広いスペースでゆったりと泳ぐ魚に魅了されるばかりです。
 餌は特にこだわりがあるようで、ミジンコが豊富に採れる地域でありながら、ミジンコの自家養殖用の容器が庭のあちこちに多数あり、中ではミジンコが数多く湧いていました。

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二歳親魚分譲会 : 広島県福山市加茂町の小川支部長宅にて (2010年4月11日10:00〜16:00)
75尾が入った洗面器が並ぶ 分譲魚をじっくり吟味する会員 掛合わせや飼育説明 屋根下のプラ舟には親魚が
 今年2回目の行事となる「二歳親魚分譲会」が支部長宅で行われました。今回の分譲会・研究会は、昨年に続いて一般参加者も加えて行い、出席者は32名(うち会員25名)でした。朝の激しい雨も10時の開会には少雨となり、昼前にはほぼ止んで、研究会は支障なく進行されていました。
 
午後1時からの一般分譲会も2時には終了し、分譲魚は合計75尾が出品され、うち50尾(二歳魚48尾、親魚2尾)が販売されています。
昨年の全国大会二歳3位の魚 すくい上げ解説する支部長 110Lに6〜8尾が入る二歳舟 屋外のプラ舟には二歳魚
 分譲会の後は、一般参加者とともに支部長の飼育状況の見学を行いました。産卵に向けて種魚として資質、掛け合わせや給餌、換水など飼育管理のポインの解説が現物を用いて丁寧に行われました。
 以下には、支部長がすくい上げて特徴や掛け合わせ方などの解説を行った二歳魚を中心に掲載しています。
(上の写真の8尾は、支部長の明け二歳の中から目についた魚を洗面器に上げて撮影したものです)
  今年は、二歳魚を特に多く残している支部長ですが、目先が尖り腹の良く出た丸手の魚の割合が、年々高まっているように感じました。
 上段の4尾は、特に最近の支部長の系統の魚らしい特徴が見られ、下段の左3尾は少し昔からの形質を感じさせます。また、下段右端の魚は特徴的な親骨の柔らかさを見せる魚です。
 飼育状況の見学の後は、皆でミジンコの採集に出かけ、毎回のことながら各自が1袋ずつ酸素詰めした多量のミジンコを持ち帰っています。

丸鉢ライン

座談会 : 広島県福山市加茂町の小川支部長宅にて (2010年2月21日11:00〜17:30)
丸鉢の作成作業の実演 FRPの型を利用した丸鉢作り 冬囲いの様子 薄い青水で越冬するプラ舟
 今年も一年の最初の行事として、「座談会」が行なわれました。未明は1℃まで冷え込みましたが、日中は12℃を超えて暖かく、研究会日和となりました。会員19名が参加し、活気のあるものとなりました。
 開始直後には、丸鉢の作成の実演があり、FRPの型を用いてモルタルを流し込んだ後、天気が良かったため3時間で上型が外され、一連の作業を確認することができました。
 また、支部長の飼育状況を見学し、青水の濃さも様々なプラ舟で何れも太みを増して元気に泳ぐ魚を確認した会員は、冬季に不要なストレスを与えず、放任した状況での冬越しの意義を実感したようです。
 昼食後の小川支部長による「当歳魚の創り方」の講演は1時間にもなり、冬ごもり明けの魚の起こし方から始まって、親魚の選定、産卵の誘導、稚魚の選別や管理など、熱の入った解説でした。
 
モルタル角鉢作りの説明 模型を使った解説 ミジンコの採集 採集したミジンコ類
  その他にも、角鉢の作成にあたっての解説や、尾型不正魚の矯正方法、共同購入したブラインシュリンプエッグの配布など、盛り沢山の内容で、夕方5時30分まであっという間に過ぎた充実の一日となりました。
 また、会場の支部長宅から5分程度車で移動し、溜め池で行ったミジンコ採集の実習では、2月下旬ながら水面付近に霞のようなごく小さなミジンコが湧いている状態で、採集したものは希望する会員が持ち帰りました。
 なお、採集したミジンコ類は、拡大してみると、写真の中央右のミジンコ(ダフニア)の他は、ほとんどがケンミジンコでした。
 動きが素早く土佐錦魚の餌としてはあまり適さないケンミジンコですが、孵化直後はブラインシュリンプと同じくノープリウス幼生の形で、変態しながら成長する変わったミジンコです。
 また、初期は植物性の食性ですが、大きくなると雑食性になり、小型のゾウミジンコを捕食したり、ミジンコ(ダフニア)の殻の中に入って卵を捕食するようになるので、ミジンコを自家繁殖させるには要注意です。

丸鉢ライン

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