トサキン保存会西日本支部「2008年研究会活動報告」

トサキン保存会西日本支部の研究会活動の状況を簡単に紹介します。
(一部の枠付きの写真は、クリックすると拡大します)

会員のための活動ですので、実際にはここに公表出来ない技術や情報などもあり、掲載内容は活動の一部です

(記事は研究会開催後に順次追加する予定です)。

当歳魚研究会・分譲会 : 広島市東区民文化センターにて (2008年9月21日10:30〜16:00)
研究会に先駆け分譲魚販売 当歳魚52尾が出品 支部長(左端)の審査講評 上位15尾の入賞魚が並ぶ
 今年5回目の行事「当歳魚研究会(品評会)・分譲会」が、出席者16名で開催されました。朝から雷鳴の轟く豪雨で、午前中は大雨洪水警報も出ていましたが、雨天決行の取り決め通り行われました。

 会場準備が始まる8時半頃にはどしゃ降りでしたが、分譲魚が並ぶ10時には小雨となり、当歳魚品評会の出品魚が並んだ11時頃には、ほぼ気にならない程度のぱらつきとなりました。

 品評会に出品された当歳魚は52尾。上位15尾の入賞魚選定にあたった4人の審査員も、昨年以上のレベルに驚きつつ、この時期の当歳魚にふさわしい資質を厳しく吟味していました。

 また、研究会に先駆けて行なわれた一般の方への分譲会では、9時にはすでに会場で待っておられる方も何人かあり、11時半からの予定を早めて11時から販売を行ないました。

 今回の研究会の開催はネットでの告知のみでしたが、購入された方は関東や関西など県外からも多くお越し頂きました。

 分譲出品魚は150尾を越え、普及用に非常に安く設定された価格で、当歳魚では1尾二千円前後のものを主体にし(良いものは3万円のものまで)、二歳や親魚も30尾前後が5千円程度を主体に(3万5千円までと)、幅広く出品されていました。
第1位:Daitou氏出品魚 第2位:Saijo出品魚 第3位:Daitou氏出品魚 第4位:Saijo出品魚
第5位:Daitou氏出品魚 第6位:Tagashira氏出品魚 第7位:Tateishi氏出品魚 第8位:Morioka氏出品魚
第9位:Morioka氏出品魚 第10位:Arisue氏出品魚 第11位:Arisue氏出品魚 第12位:Nakashio氏出品魚
第13位:Ikemoto氏出品魚 第14位:Arisue氏出品魚 第15位:Matuda氏出品魚 Ogawa氏参考出品魚


丸鉢ライン

選別済稚魚分譲会 : 広島県福山市加茂町の小川支部長宅にて (2008年6月15日11:00〜16:00)
袋詰めした分譲稚魚が並ぶ 選別済み分譲稚魚10尾入 選別済み分譲稚魚20尾入 丸鉢の尾への影響を説明
 今年4回目の行事となる「選別済稚魚分譲研究会」が、出席者15名で開催されました。今回も関東、四国、山陰などから参加もあり、賑やかな研究会でした。
 選別済みの分譲稚魚の他にも無選別がありましたが、支部長が準備された10尾で1セットの選別済みは。サイズも大きく、見るからに良いものが入っており、皆から驚きの声が出るほどのものでした。
尾にガスを防ぐための板 丸鉢で目立つ「漆黒の魚」 通常のものとの比較 このサイズでこの腹型
 飼育状況の見学は、今回から2班の交代制とし、少人数でじっくり見れるようにしています。ちなみに、残りの班は別室でテーマを決めて情報交換を行なう分科会を行なっています。
 支部長の今年の飼育は、生餌が十分に採れているため、イトミミズ+ミジンコの給餌にされていて、成長も非常に早く、腹型や目先は抜群で、このサイズの稚魚ですでに「土佐錦魚」らしい体型を見せています。
 どの鉢も同様に良い型の稚魚が揃っていて、あらためて初期管理の重要さを感じさせてくれました。

 また、今回は稚魚の中に「漆黒の魚」が出たとのことで、黒出目金のような真っ黒の体色の稚魚が1尾泳いでいました。
 普通の稚魚との差は歴然で、その昔、高知にいたと伝えられる「黒の系統」は、このような形質だったのではないかと想像が膨らむ楽しい魚でした。
どの鉢の稚魚も同じ体型 生餌で成長は非常に早い
  飼育状況の見学と分化会の後は、全体でのまとめを行い、16時前には一応解散となりましたが、さらに希望者でイトミミズの採集に出かけました。


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無選別稚魚分譲会 : 広島県福山市加茂町の小川支部長宅にて (2008年5月25日11:00〜17:00)
洗面器ごとに分譲稚魚が並ぶ 選別済みの分譲稚魚 新規会員の選別実習 四角い白バットでの選別
 今年3回目の行事となる「無選別稚魚分譲研究会」は、出席者17名(会員17名+S養魚場の取材)で開催されました。今回も関東、近畿、四国や山陰などからも参加があり、本格シーズン開始に伴う熱意が感じられる研究会でした。
 分譲稚魚は全て支部長が準備され、採卵と成長のタイミングから、今回は選別済みとなる孵化後2〜3週目のものを17鉢分(各60尾前後)が、くじ引きによって希望順に分譲されました。
 また、現在孵化したばかりの針仔については、無選別で後日希望者に郵送される事となっています。
 当日は、新規入会者を中心に選別の実習を行い、選別間違いや選別漏れの指導も行なわれました。また、一般に良く行なわれる選別盆や洗面器など、丸い容器での選別では、稚魚が周囲を泳ぎまわるため、尾形を見やすくする方法として四角いバットなどの利用も紹介されました。
丸鉢で孵化させている卵 ブラインシュリンプの与え方 大発生している水路のイトミミズ 泥とともに掬い取り、後で分離
 飼育状況の見学では、分譲された稚魚の両親の説明や卵の管理や扱い、初期飼料となるブラインシュリンプの与え方の工夫などが説明され、実際の稚魚を洗面器に上げて見てみながら、選別時の注意点や親骨の張りと泳ぎによる尾肩の流れなどの解説もありました。
 その後は、車で10分足らずの距離ですが場所を移動してイトミミズの採集に出かけました。前日の雨で水かさが増して採りやすくなった水路で、各自キロ単位での大収穫に驚かされながら、イトミミズの餌や保存などの話題も出ていました。
当歳時に優勝した二歳雄魚 同じく9位の二歳雄魚 同じく11位の二歳雄魚 二歳時に優勝した四歳雄魚
  17時前には一応解散となりましたが、遠方の会員を駅に送るまでの1時間弱の時間は、希望者は残って支部長への質問や情報交換など、それぞれ有意義に過ごされていたようです。
 上の4尾の写真は何れも支部長の魚で、4月に見た時と一回り以上大きくなっており、二歳などは特に伸びが著しく、今年の成長を予感させてくれる感じでした。


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二歳親魚分譲会 : 広島県福山市加茂町の小川支部長宅にて (2008年4月20日11:00〜17:30)
 今年2回目の行事ですが、研究会的な内容では初回となる二歳親魚分譲会が行われました。出席者18名(うち会員17名)での開催で、遠方では近畿、四国や山陰といった地域からの初参加の新会員もあり、中には片道6時間弱といった行程での参加された方もあり、飼育にかける意気込みを感じさせる活気あるスタートとなりました。

 分譲魚は二歳30数尾、親魚10数尾で合計50数尾が出品されました。魚が並ぶと出品者への質問や支部長への将来性の見方など、随所で会員間の会話が和やかに始まり、それぞれ情報交換や飼育技術の向上を行なっていたようです。
 分譲魚は非常に質が高いものが多くあり、上下の写真の褪色前の二歳魚はいずれも支部長が出品されていたもので、品評会の様相を呈していたほどのレベルの魚もかなり出品されていたほどです。
 この他にも、それぞれ種として用いるべき優れた特徴を持つ魅力的な魚が多く出されていて、会員の皆さんは雌雄を確認して、それぞれの繁殖での掛け合わせを考えながら購入していました。
  右上の2枚は、ミジンコを6倍のルーペで観察し、種類を見分けるもので、うちで増殖したものをサンプルで展示したものです。
 このルーペにデジカメを乗せて撮影したものが右端の写真です。右上には低酸素状態の増殖でオレンジ色に変色したミジンコ(ダフニア)が、左中央にはタマミジンコ(モイナ)が見えますが、どちらもその形態がこのルーペひとつでここまではっきりと確認できます。

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座談会 : 広島県福山市加茂町の小川支部長宅にて (2008年2月24日11:00〜18:00)
良い丸鉢と悪い丸鉢の比較 アク抜きの意義と程度 高知からの導入魚 冬越し中のプラ舟
 今年最初の行事となる「座談会」が、会員12名の参加で行なわれました。座談会の企画は初めてで、シーズン前なので、座学や情報交換を主体にした研究会となりました。
 なお研究会では、大阪の三卯養魚場様が取材のためオブザーバー参加されましたが、様々な情報もご提供頂き、非常に楽しく有意義な新年度のスタートとなりました。

 まず、支部長が過去に撮影した品評会のビデオを観賞し、その頃の魚の姿を見ながら評価基準や変遷について解説されました。
 1994年のトサキン保存会(池袋)の品評会から始まり、また1995年夏、秋の高知の品評会など、当時は今ほどホームビデオが普及していなかったので本当に貴重な動画映像で、その頃の土佐錦魚の質の高さに驚かされる内容でした。
 続いて、丸鉢に乗せる板の効果と使い方の注意や、丸鉢の形態的、質的意義についての解説の他、実物を見ながらのより良い丸鉢とその作り方の注意点など、盛り沢山の内容でした。

エアーをしない舟もある 水温4℃。痩せた様子も無い
 その後、時折小雪もちらつく天気で、気温は4℃と非常に寒い一日でしたが、今回もいつもの研究会と同様に金魚小屋に上がり、実際の冬越しの様子を見学しました。
 青水の舟や透明でコケの生えた舟など状態は様々ですが、どの舟でも痩せたり調子を崩したりすることも無く、足し水や換水を一度もすることなく、良い状態を保っていました。

 最後に冬ごもりから明ける際の換水や餌の注意点やコケの扱いなどについての解説がありました。

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